新刊のご紹介

新刊のご紹介（生方淳子）

　本学会のメンバー二名が最近それぞれ出版した二冊の著書を紹介します。
二冊ともサルトルを中心テーマにした本ではありませんが、実は深いつながりが見出せるサルトリアンならではの本です。


石崎晴己著『ある少年H』、吉田書店
　題名からすると自伝的作品と思われますが、それを越えてまさに「単独的普遍」を語る試みです。第二次世界大戦直後の日本を生きた一少年の体験をとおして紡がれる歴史の証言であり、文明批評であり、人間論・教育論でもあります。サルトルにも少なからぬページが割かれており、『存在と無』、『言葉』、『ユダヤ人問題』、『家の馬鹿息子』が取り上げられ、サルトルの伝記的事実にも考察が加えられています。研究書の枠にとらわれないエッセイならではの自由闊達さで、随所にサルトル思想の神髄が盛り込まれています。

出版社HP
http://www.yoshidapublishing.com/booksdetail/pg730.html


永野潤『イラストで読むキーワード哲学入門』、白澤社発行、現代書館発売
　意表をつく哲学入門書です。お決まりの哲学用語が並び、平易に解説されているのではなく、見事な独断で選ばれたと思われる52のキーワード各々について、マンガや映画や音楽、絵画、そして時事問題をも巻き込んだ思考のエッセンスが披露されています。著者自身が描いた少々謎めいたイラストが項目ごとに添えられ、それに導かれるように普段私たちが見ようとしない世界の側面が顔をのぞかせます。サルトル哲学に関しても「不安と自由」、「対他存在」、「実存と本質」などが（サブ）カルチャーと重ねて語られています。

出版社のブログ
https://hakutakusha.hatenablog.com/

入門･哲学者シリーズ４『サルトル わたしである自由：実存主義』青灯社

青灯社｜近刊案内
入門･哲学者シリーズ４ 『サルトル　わたしである自由：実存主義』

｢入門・哲学者シリーズ｣　(全巻著者:貫　成人、全１９冊)

『存在と無』文庫化？

まだ筑摩書房のページやamazonなどには載っていないようですが、『存在と無』がちくま学芸文庫から11月9日刊行されるという情報がありました。

セブンアンドワイ - 本 - 存在と無　Ⅰ　現象学的存在論の試み　
978-4-480-09106-2

私は先ほどネット上で知りましたが、びっくりしました。

『サルトル 21世紀の思想家』

サルトル21世紀の思想家―国際シンポジウム記録論集

• 作者:
• 出版社/メーカー: 思潮社
• 発売日: 2007/04
• メディア: 単行本

知識人の時代―バレス/ジッド/サルトル

知識人の時代―バレス/ジッド/サルトル

• 作者: ミシェル・ヴィノック
• 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
• 発売日: 2007/02
• メディア: 単行本

ジャン=ポール・サルトル『家の馬鹿息子』 3

家の馬鹿息子〈3〉ギュスターヴ・フローベール論(1821年より1857年まで)

• 作者: ジャンポール サルトル
• 出版社/メーカー: 人文書院
• 発売日: 2006/12
• メディア: 単行本

合田正人『サルトル『むかつき』ニートという冒険』

サルトル『むかつき』ニートという冒険

• 作者: 合田 正人
• 出版社/メーカー: みすず書房
• 発売日: 2006/08
• メディア: 単行本

アニー コーエン=ソラル／石崎晴己訳『サルトル』

サルトル

• 作者: アニー コーエン=ソラル
• 出版社/メーカー: 白水社
• 発売日: 2006/05
• メディア: 新書

川神傳弘「サルトルの文学－－倫理と芸術のはざまを奏でる受難曲」

川神傳弘さんの「サルトルの文学－－倫理と芸術のはざまを奏でる受難曲」関西大学出版部２００６が出版されました。

サルトルの文学―倫理と芸術のはざまを奏でる受難曲

サルトル関連出版物

・ジャン=ポール・サルトル著／澤田直訳『言葉』（人文書院）2006年2月
・梅木達郎『サルトル―失われた直接性をもとめて〈シリーズ・哲学のエッセンス〉』（日本放送出版協会）2006年1月
・別冊『環』11サルトル（藤原書店）2005年10月
・ベルナール=アンリ・レヴィ著／石崎晴己、三宅 京子、沢田直、黒川学訳『サルトルの世紀』（藤原書店）2005年6月
・クローディーヌ・セール=モンテーユ著／門田真知子、南知子訳『世紀の恋人―ボーヴォワールとサルトル』（藤原書店）2005年6月